歯根の治療を受けている患者様へ | スマイルデザイン吉田歯科

治療

2025.01.06

歯根の治療を受けている患者様へ

治療してから痛くなったけど、どうして!?

虫歯が大きくなり、染みるなど強い痛みがある、またはズキズキするような痛みがある場合は、痛みを取り除くために根管治療が必要になります。しかし、せっかく痛みを取るためにした根管治療後に、さらに強く痛みが出る場合があります。痛み止めが効く程度の痛みであればいいのですが、中には痛み止めが全く効かないような状況に陥いることもあります。これは、患者さんの日常生活に大きな影響を与えることになります。

フレアアップとは?

根管治療は多かれ少なかれ、術後の4872時間で痛みが出る可能性があるとされています。その中でも、痛み止めが効かないような痛みと腫れが生じ、歯科医師による治療介入が必要なものを「フレアアップ」と呼んでいます。Tsesisらの研究では、根管治療を行った患者の8.4%にフレアアップが生じたとしています。これは、根管治療を受けた患者のうち、10人に1は激しいを痛みを経験する可能性があることを示唆しています。また、術前に「すでに痛みがある場合」や「根の先に病気がある場合」など、特定の条件下では術後の痛みが出る可能性はさらに高くなります。

フレアアップの原因は?

そもそも、この痛み、原因はなんなのでしょうか?

術後の痛みの原因は、治療の際に用いる

機材(ニードルやドリルなど)による刺激

洗浄剤(次亜塩素酸や水酸化カルシウムなど)による刺激

細菌が悪さをすることによる刺激の三つがあります。

 

中でも細菌による刺激は、痛みの原因の多くを占めていると考えられており、感染をできるだけ起こさないようにすることがこの痛みを予防するという点では重要になります。

フレアアップを防ぐためにはどうすればいいの?

 

可能なかぎり感染を起こさせないための処置として、「ラバーダム防湿」があります。これはゴムのシートによって、治療する歯を口の中から隔離し、唾液などに含まれる細菌が、歯の中に侵入するのを防ぐものになります。主な原因が細菌の感染であるならば、痛みの発生を防ぐために、細菌ができるだけ歯の中に入らないように配慮するのはとても大切であるということがわかります。

 

▼根管治療後の痛みを和らげる方法

 

フレアアップなどが原因で、根管治療後に痛みが強く現れている場合は、以下の方法で症状を和らげましょう。

 

  1. 痛み止めを飲む

 

根管治療後の痛みが強く感じられる場合、鎮痛薬の服用が非常に効果的です。市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)で対応できることが多いですが、必ず歯科医師の指示に従い、適切な薬を使用するようにしましょう。特に、鎮痛薬は過剰摂取や服用間隔の誤りが副作用を引き起こす可能性があるため、医師の指導を遵守することが重要です。鎮痛薬の効果には個人差がありますが、適切に服用することで痛みを抑え、快適に過ごすことが可能です。また、必要であれば処方薬を利用することも考えられますので、痛みが強い場合は歯科医師にご相談ください。

 

  1. 強く噛まないようにする

 

治療直後は、治療した歯に過度な力をかけると痛みが生じることがあります。特に、強く噛むことで根管内の組織が圧迫され、炎症を引き起こす原因となることがあります。そのため、治療直後は柔らかい食べ物を選び、噛む際に力をかけ過ぎないよう注意しましょう。例えば、スープやおかゆ、柔らかい果物などが推奨されます。また、噛み合わせの調整が必要な場合もあるため、噛むときに不快感や異常を覚えた場合は早めに歯科医師に相談してください。噛み合わせの調整は、根管治療後の回復を助ける重要なステップです。

 

  1. 口腔内を清潔に保つ

 

根管治療後の痛みを軽減するためには、口腔内の清潔を保つことが非常に重要です。口腔内に細菌が増殖すると、歯ぐきの炎症が悪化し、痛みを引き起こすリスクが高まります。そのため、通常のブラッシングに加え、デンタルフロスや洗口液を使用して、歯と歯の間や歯ぐきの周囲も丁寧に清掃することが求められます。ただし、治療直後の歯ぐきは非常に敏感な状態になっているため、ブラッシングの際は柔らかいブラシを使い、優しく行うことを心掛けてください。特に、治療部位周辺を刺激しすぎないよう注意しながら、口腔内を清潔に保つことが重要です。

 

▼痛みが続く場合の対処法

 

上記の方法でも根管治療後の痛みが治まらない場合は、何らかの異常が疑われるため、そのまま放置するのは良くありません。

 

  1. 再度診察を受ける

 

痛みが長く続く場合は、必ず再度歯科を受診することが重要です。根管治療後の痛みが長引く原因として、根管内に残っている感染や噛み合わせの不具合、または治療部位の新たな炎症などが考えられます。歯科医師による適切な診断と処置を受けることで、痛みを取り除き、症状を改善することができます。また、治療が必要な場合は、早期に適切な対応を行うことで、さらなる痛みや合併症のリスクを減少させることができます。

 

  1. 適切なケアを継続する

 

歯科での診察を受けた後も、日常の口腔内ケアを怠らないことが非常に大切です。歯科医師から指示されたケア方法を守り、適切に口腔内の清潔を維持することで、痛みや炎症を防ぐことができます。例えば、治療部位周辺の丁寧なブラッシングや、抗菌性の洗口液を用いたうがいなどが推奨されます。また、定期的な通院で治療の進行状況を確認し、問題が発生した場合には早期に対応することが効果的です。定期的なチェックアップは、根管治療後の予後を良好に保つための鍵となります。

 

◎先制鎮痛について

 

根管治療前に前もって痛み止めを飲んでおく事も、術後の痛みを軽減するのに役立つとされています。これは「先制鎮痛」という考え方で、P.D. Wallは「痛みの刺激が与えられる前に鎮痛処置を行えば、術後の痛みは抑えられる。」としています。もし、根管治療後の痛みに不安があるのであれば、事前の痛み止めの摂取について、歯科医師に相談するのもいいかもしれません。

 

 

 

当院では、根管治療後の痛みやフレアアップの発生を最小限にするために、根管治療を専門的に行う歯科医師が勤務しております。根管治療に関することでお困りの方、是非一度ご相談ください。

また、根管治療前に前もって痛み止めを飲んでおく事も、術後の痛みを軽減するのに役立つとされています。これは「先制鎮痛」という考え方で、P.D. Wallは「痛みの刺激が与えられる前に鎮痛処置を行えば、術後の痛みは抑えられる。」としています。もし、根管治療後の痛みに不安があるのであれば、事前の痛み止めの摂取について、歯科医師に相談するのもいいかもしれません。

 

当院では、根管治療後の痛みやフレアアップの発生を最小限にするために、根管治療を専門的に行う歯科医師が勤務しております。根管治療に関することでお困りの方、是非一度ご相談ください。

 

参考文献

1.Tsesis I, et al. Flare-ups after Endodontic Treatment: A Meta-analysis of Literature.  JOE 2008;34:1177–1181.

2.Siqueira JF Jr Incidence of postoperative pain after intracanal procedures based on an antimicrobial strategy. JOE2002;28:457-460

3.P.D.Wall. The preventive of postoperative pain PAIN1988;33:289-290

4.石井宏 世界基準の臨床⻭内療法 医⻭薬出版

 

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