治療
2013.12.27
仮歯とは?
治療の途中で付ける、仮歯をご存知ですか?
その大切さはあまり知られていないかもしれませんが、
実はとても大切な役割を持っているのです。
今日は、なぜ仮歯が必要なのか、どのような役割を果たしているのかなどをご説明します。
Q. 仮歯って何?
A.
仮歯というのは、クラウンやブリッジなどのかぶせ物を付けるまでの
一時的な仮のかぶせ物です。
Q. かぶせ物の役割って?
A.
治療途中の歯はデリケートなので、治療部分をむき出しのままにしておくと、
症状が悪化してしまいます。
かぶせ物は、治療途中の歯を守ったり、
見た目やかみ合わを改善するなどの役割を果たしています。
他にも、
・歯ぐきの形や位置を変えないようにする
・話しやすい(発音しやすい)ようにする
・歯が移動しないようにする
・食事を楽にする
など、様々な働きをしてくれます。
Q. なぜ仮歯はよく取れるの?
A.
仮歯は、治療途中の一時的なかぶせ物です。
治療の度に外したり、付けたりする必要があります。
外れなくなってしまうと、治療ができなのなるので、
あえて強くは付けないようにしていることをご理解ください。
Q.仮歯が取れたら、放っておいてもいいの?
A.
仮歯が取れたまま放置していると、
ばい菌が入ったり、症状が悪化したり、仮歯の材質が悪くなり
周りの歯に悪影響を及ぼす可能性があります。
すぐに歯科医院に連絡してください。
Q. 仮歯を付けている時に、どんなことに気を付けたらいいですか?
A.
以下のことに気を付けてください。
・硬いものを食べない。
・歯にくっつくものは食べない
・歯ぎしりをしない
・強く噛みしめない
・歯磨きはていねいにする
ケアが大変だと感じられるかもしれませんが、
治療をスムーズに進めるためにも、仮歯を大事にしてあげてください。
また来院される患者さんから質問の中で多いのは、「仮歯ってなんで作るの?」というものです。
仮歯には幾つかの大切な役割があります。Steeleらの研究によると、仮歯の機能として以下の7つが挙げられています。
①快適さの確保
②咬み合わせと歯の位置関係の維持
③機能性の回復
④歯茎の健康と形
⑤審美性
⑥診断
⑦その他の用途
①快適さの確保
神経の生きている歯に被せ物をする際には、型取りをしてから次のアポイントまでの間、歯自体が冷気や熱気から無防備な状態になります。そういった刺激から歯を守り快適に過ごすため、ある程度の熱を遮断できる素材で、歯自体をカバーしてあげる必要性があります。
②咬み合わせと歯の位置関係の維持
咬み合わせや隣の歯との接触がなくなることで、時間が経つにつれて歯が動いてしまいます。それに伴い、咬み合わせにも変化が生じ様々な部分に症状が出る可能性があります。仮歯を入れてあげることで、それらを未然に防ぐことができます。
③機能性の回復
歯を削っていることで一時的に噛めなくなりますが、仮歯を入れることで簡単ではありますが、歯として機能させることができます。特に奥歯で複数本の処置をする際など、噛めなくなることで食事が不便になります。
④歯茎の健康と形
最終的な被せ物をする前に歯茎との調和を得るために、仮歯を入れてある程度歯茎の形を整えておく必要性があります。最終的な被せ物を入れてから歯茎が炎症を起こしても、形を変更するのは難しいからです。
⑤審美性
最終的な被せ物の形が、患者さんのお口の中で自然に見えるかどうか調べる必要があります。そのため、仮歯の段階で色や形を調査しておくと、より良い被せ物を作り上げることができます。
⑥診断
咬み合わせや審美性を、事前に仮歯を用いて確認することで、問題ないかどうかを診断することができます。ここを疎かにすると、最終的な被せ物を入れた時に、痛みや違和感が生じることになるます。
⑦その他の用途
被せ物を作るためには、ある程度歯を削りスペースを確保しなければなりません。そのスペースが確保できているかを仮歯を用いて確認することができます。
これらのことを踏まえると、優れた仮歯を作ることで、より良い最終的な被せ物を作ることができると言えます。さらにエラーが少なくなるので、将来的に多くの時間と費用を節約することができます。
患者さんの中には「仮歯はいらないから、早く被せ物作って!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、様々な理由から仮歯が必要なシチュエーションは数多く存在します。仮歯は、最終的な被せ物やお口の中が、長期にわたって問題を起こさないようにするための、道標になります。口の中をより健康に導くために、一緒に頑張っていきましょう!
Steele, J. G et al. “Crowns and other extra-coronal restorations: Provisional restorations”. British Dental Journal. 2002;192 (11): 619–630.
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豊中市 医療法人スマイルデザイン吉田歯科