治療
2025.08.05
なぜ歯の神経は残したほうがいいの?神経を抜くデメリットについて
皆さん、こんにちは。豊中市のスマイルデザイン吉田歯科です。今日は、「歯の神経を抜く理由やデメリット」についてお話しします。歯の治療に関心のある方に、歯の神経についての知識を持っていただき、最適な治療選択をしていただくための情報を提供できればと思います。
- そもそも歯の神経とは?
歯の神経とは、歯の中心部にある「歯髄」と呼ばれる組織です。歯髄は歯に栄養を供給し、外からの刺激(温度や痛みなど)を感知する役割を果たしています。歯髄が健全であれば、歯は本来の機能を発揮できますが、虫歯や外傷により歯髄が感染したり損傷したりすると、歯の健康が脅かされます。
2.歯の神経を残した方がいい理由
歯の神経を残したほうがいい理由としては、歯髄が以下の3つの重要な役割を担っているからです。
【役割1】痛みや刺激を伝える
歯の神経には、異常を感知し伝える重要な役割があります。虫歯が進行すると、歯の神経が刺激されて「痛み」を感じることがあります。また、冷たい飲み物や熱い食べ物がしみるのも、歯の神経が敏感に反応しているからです。このように、外部からの刺激に対して「痛み」を通じて異常を知らせる役割を担っています。神経が存在することで、食べ物の温度を感じることができるのも、その大きな特徴です。
【役割2】歯に栄養を送る
歯の神経は血管やリンパ管と共に象牙質に栄養を送り、歯を健康に保っています。血液を通じてカルシウムやミネラルなどの栄養素を歯に供給することで、神経のある歯は栄養が行き届き、歯質が強く、見た目にもツヤがあり健康的な状態を維持できます。神経が残っていることで、歯そのものが丈夫でしっかりとしたものになり、歯ぐきとの関係性も良好になります。
【役割3】細菌の侵入を防ぐ
歯の神経は、血液やリンパ液の流れによって、細菌が内部に侵入するのを防ぐ役割も持っています。神経を含む歯髄には免疫反応があり、細菌が侵入しようとするとそれを押し戻し、歯を守る役割を果たします。つまり、歯の神経は免疫機能の一部として、歯を外敵から守る大切な役割を担っています。
▼神経と歯の寿命の関係
歯の神経は、歯を健康な状態で保つために欠かせない存在です。神経があることで歯に栄養が行き渡り、歯質が保たれるため、神経を失うとその歯の寿命が大きく短くなる可能性があります。実際、神経がない歯の寿命は、神経がある歯と比べて平均して約10年も短くなるというデータもあります。
一度歯を失うと、どれだけ優れた人工歯で補ったとしても、生きた天然の歯には及びません。歯の神経は、歯の寿命や機能を維持するために非常に重要です。そのため、虫歯治療を行う際には、可能な限り神経を抜かずに残す治療を選択することが求められます。歯の寿命を延ばし、健康な状態を保つためには、神経を残すことが最も効果的なのです。
3.歯の神経を抜かなければならない症状
一般的に、歯の神経を抜く(根管治療)必要があるのは、次のような症状が現れた場合です:
虫歯の進行: 虫歯が深く進行し、歯髄にまで到達した場合、感染が広がるのを防ぐために神経を抜く必要があります。
外傷: 歯に強い外傷が加わり、歯髄が損傷してしまった場合。
歯の亀裂: 歯に亀裂が入り、歯髄に細菌が感染したり、痛みが生じたりする場合。
4.歯の神経を抜くデメリット
歯の神経を抜くことには、以下のようなデメリットがあります:
歯の脆弱化: 歯の神経を抜くことで歯に栄養が供給されなくなり、時間の経過とともに歯が脆くなります。その結果、噛み合わせなどで亀裂が入るリスクが高まります。
感覚の鈍化: 歯の神経を抜くことで、温度や痛みなどの感覚が失われ、異常を察知しにくくなります。
再治療のリスク: 根管治療後の歯は感染しやすく、再治療が必要になるケースもあります。
噛み合わせの変化: 神経を抜いた歯は、噛み合わせの変化に対応しにくくなる可能性があります。
5.歯の神経を抜かない場合に起こり得るリスク
一方で、歯の神経を抜かずに感染が広がると、以下のようなリスクが発生します:
痛みの悪化: 歯髄に炎症が生じると強い痛みを感じます。そのまま放置すると痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたす場合があります。
膿瘍の形成: 感染が進行すると、歯の根元に膿がたまって膿瘍が形成されます。膿瘍が拡大すると周囲の骨や組織にも感染が広がり、重篤な症状を引き起こす可能性があります。
抜歯の必要性: 感染が治療できないほど広がると、歯自体を抜く必要が出てくるため、早期の治療が重要です。
6.歯の神経を抜いた後の治療について
歯の神経を抜いた後の治療についても触れておきます。神経を抜くことになった場合、その後の処置として「根管治療」が行われます。根管治療では、感染した歯髄を取り除き、歯の根の内部をきれいに消毒・清掃した後、根管内を充填材でしっかりと密封します。この密封により、再感染を防ぎ、歯の内部に細菌が侵入するのを防ぎます。
その後、歯が脆くなるのを補強するために「土台(コア)」を作ります。土台には金属やレジン(樹脂)などが用いられ、歯の構造をしっかりと支える役割を果たします。
最後に、土台の上に被せ物を装着します。被せ物は、セラミックや金属、レジンなどの材料が使用され、見た目や機能性を考慮して選ばれます。これらの工程を通じて、神経を抜いた歯でも噛み合わせなどの機能を回復し、長く使えるようにします。
神経を抜いた歯は脆くなりやすいため、治療後の適切なケアと定期的なメンテナンスも重要です。
▼10年先、20年先を見据えた「歯を生かす治療」
歯を失うと、二度と元には戻りません。自分の歯でしっかりと噛めることは、健康で快適な生活を支える重要な要素です。
・何でもおいしく食べられる
・体幹が安定しスポーツも楽しめる
・正しい噛み合わせを維持できる
・発音が安定し会話も楽しめる
これらの「当たり前」を守るためには、歯の神経を残して健康な状態を維持することが必要です。歯の神経が存在することで、歯の強度や弾力性が保たれ、咀嚼力がしっかりと維持されるため、硬いものでも無理なく噛むことができます。また、噛むことで脳に適度な刺激が送られ、認知機能の維持にもつながります。さらに、歯の神経があることで歯ぐきの健康も保たれ、歯周病のリスクも低減されます。
特に、10年先、20年先を見据えた治療を選択することが大切です。歯の神経を残すことで、長期的に歯の健康を維持し、全身の健康にも良い影響を与えます。むし歯予防の基本は毎日の歯磨きですが、それだけではなく、定期的に歯科医院を受診し、専門的なケアを受けることも重要です。歯のクリーニングやフッ素塗布、歯科衛生士によるブラッシング指導など、プロによるケアを受けることで、むし歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
7.おわりに
歯の神経を抜くことは避けたいことですが、症状に応じて必要になる場合もあります。患者さんの歯の健康を守るため、歯科医師と相談して最善の治療方法を選びましょう。豊中市のスマイルデザイン吉田歯科では、患者さんの歯を長く健康に保てるよう、最適な治療とアドバイスを提供しております。何か気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。