小児矯正

2026.06.24

「お口ぽかん」は大丈夫?お子さんの口腔機能発達不全症

「お口ぽかん」は大丈夫?
お子さんの口腔機能発達不全症

食事に時間がかかる、よく噛まずに飲み込んでしまう、いつもお口がぽかんと開いている――。お子さんのこんな様子を見て、「うちの子だけかな」と気になったことはありませんか。実はこうしたサインの背景に、「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」が隠れていることがあります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、近年とても重要視されているお口の問題です。今回は、保護者の方に知っておいていただきたい口腔機能発達不全症についてご紹介します。

口腔機能発達不全症とは

口腔機能発達不全症とは、「食べる・話す・飲み込む・呼吸するといったお口の機能が、年齢に応じた成長をしていない状態」のことを言います。生まれつきの病気や明らかな障がいがないにもかかわらず、これらの機能がうまく身についていない18歳未満のお子さんがこれに該当する可能性があります。

実は、2018年に新しく保険の対象として認められた、比較的新しい歯科の病名です。それまでは「ちょっと食べるのが下手なだけ」「そのうち治るでしょう」と見過ごされがちだったお口の発達のつまずきですが、きちんと目を向けて支えていきましょう、という考え方が広がってきています。

こんなサインはありませんか? チェックリスト

口腔機能の発達は、大きく分けて「食べる」「話す」「その他(呼吸・クセ)」の3つの面から見ていきます。次のような様子に心当たりがないか、普段のお子さんを思い浮かべながらチェックしてみてください。

食べる

  • 硬いものを嫌がる、やわらかいものばかり食べたがる。硬いものを嫌がったり、嚙み切れずうまく飲み込めない。
  • よく噛まずに丸飲みする、または食べるのに時間がかかりすぎる。
  • くちゃくちゃと音を立てながら食べる、食べこぼしが多い。
  • 飲み込む時に舌が前に出る。

話す

  • サ行・タ行など、特定の音が言いにくい。
  • 発音が不明瞭で聞き取りにくいことがある。

その他(呼吸・くせ)

  • 普段からお口がぽかんと開いている。
  • 口で呼吸している、いびきをかく。
  • 指しゃぶり・爪かみ・頬づえなどのくせがなかなか抜けない。

お口がぽかんと開いている女の子のイラスト

いくつか当てはまったからといって、すぐに「口腔機能発達不全症」というわけではありません。ただ、複数のサインが重なっている場合は、一度お口の機能を見直すことをお勧めします。

どうして起こるの?

原因はひとつではなく、いくつかの要素が重なって起こると考えられています。やわらかい食事に偏り「噛む」回数が少ないこと、指しゃぶりや口呼吸といったくせ、姿勢の悪さなどが、お口まわりの筋肉の育ちに影響します。お口の筋肉がうまく成長しないと、噛む・飲み込む・発音するといった動作が正しく身につかず、結果として悪い歯並びやあごの発達不良にもつながっていきます。

放っておくとどうなるの?

お口の機能が育たないまま放っておくと、歯並びやかみ合わせ、さらにはお顔立ちの成長にまで影響することがあります。また、口呼吸を続けるとお口の中が乾燥し風邪を引きやすくなったり、むし歯や歯ぐきのトラブルも起こりやすくなります。

ここで大切なのは、お口の機能は、成長期だからこそ育てやすいという点です。あごやお口の筋肉が成長する子どものうちに介入することで、無理なく改善が期待できます。大人になってからでは難しくなることも多いため、「気になる今」が始め時と言えます。

当院でできること

当院では、歯並びやかみ合わせ、口を閉じる力や舌の動きなどを丁寧に確認していきます。その上で、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、お口の筋肉を育てるトレーニング(MFT=口腔筋機能療法)をご提案します。

トレーニングといっても難しいものではなく、お口まわりの筋力を鍛える「あいうべ体操」、舌の正しい位置の理解、よく噛む習慣づけなど、ご家庭でも続けられる内容が中心です。正しい舌の位置やお口を閉じる力が身につくと、食事や発音はもちろん、鼻呼吸が促されるなど、全身の健やかな成長にもよい影響が期待できます。

ご家庭で今日からできること

専門的なトレーニングと並行して、毎日のくらしの中で意識できることもたくさんあります。特別な道具は必要ありません。次のような小さな工夫を、無理のない範囲で取り入れてみてください。

  • 食事の時間は余裕を持たせ、左右の歯でよく噛むことを声かけしてあげる。
  • 歯ごたえのある食材(根菜・きのこ・スルメなど)を取り入れる。
  • テレビを見ている時などに、お口が開いていないか確認する。
  • 「お口を閉じようね」と声かけをすることで、口呼吸のくせに気づかせてあげる。
  • よく遊び、よく笑い、表情を動かす機会をたくさんつくる。

どれもすぐに結果が出るものではありませんが、毎日の積み重ねがお口の筋肉を育てます。叱るのではなく、できたときに褒めてあげることが、長く続けられるいちばんのコツです。

気になったら、まずはご相談ください

「これってうちの子も当てはまるかも」と感じたら、それは大切な気づきのサインです。お子さんのお口の発達不全は、早めに気付いてあげることがポイントになります。心配なことや気になる様子があれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。お子さんの「食べる・話す・笑う」を、一緒に育てていきましょう♪

記事一覧