仮歯とは? | スマイルデザイン吉田歯科

治療

2025.06.23

仮歯とは?

治療の途中で付ける、仮歯をご存知ですか?

その大切さはあまり知られていないかもしれませんが、

実はとても大切な役割を持っているのです。

今日は、なぜ仮歯が必要なのか、どのような役割を果たしているのかなどをご説明します。

Q. 仮歯って何?

A.
仮歯というのは、クラウンやブリッジなどのかぶせ物を付けるまでの

一時的な仮のかぶせ物です。

Q. かぶせ物の役割って?

A.
治療途中の歯はデリケートなので、治療部分をむき出しのままにしておくと、

症状が悪化してしまいます。

かぶせ物は、治療途中の歯を守ったり、

見た目やかみ合わを改善するなどの役割を果たしています。

他にも、

・歯ぐきの形や位置を変えないようにする

・話しやすい(発音しやすい)ようにする

・歯が移動しないようにする

・食事を楽にする

など、様々な働きをしてくれます。

Q. なぜ仮歯はよく取れるの?

A.
仮歯は、治療途中の一時的なかぶせ物です。

治療の度に外したり、付けたりする必要があります。

外れなくなってしまうと、治療ができなのなるので、

あえて強くは付けないようにしていることをご理解ください。

Q.仮歯が取れたら、放っておいてもいいの?

A.
仮歯が取れたまま放置していると、

ばい菌が入ったり、症状が悪化したり、仮歯の材質が悪くなり

周りの歯に悪影響を及ぼす可能性があります。

すぐに歯科医院に連絡してください。

Q. 仮歯を付けている時に、どんなことに気を付けたらいいですか?

A.
以下のことに気を付けてください。

・硬いものを食べない。
・歯にくっつくものは食べない
・歯ぎしりをしない
・強く噛みしめない
・歯磨きはていねいにする

ケアが大変だと感じられるかもしれませんが、

治療をスムーズに進めるためにも、仮歯を大事にしてあげてください

また来院される患者さんから質問の中で多いのは、「仮歯ってなんで作るの?」というものです。

仮歯には幾つかの大切な役割があります。Steeleらの研究によると、仮歯の機能として以下の7つが挙げられています。

①快適さの確保

②咬み合わせと歯の位置関係の維持

③機能性の回復

④歯茎の健康と形

⑤審美性

⑥診断

⑦その他の用途

①快適さの確保

神経の生きている歯に被せ物をする際には、型取りをしてから次のアポイントまでの間、歯自体が冷気や熱気から無防備な状態になります。そういった刺激から歯を守り快適に過ごすため、ある程度の熱を遮断できる素材で、歯自体をカバーしてあげる必要性があります。

②咬み合わせと歯の位置関係の維持

咬み合わせや隣の歯との接触がなくなることで、時間が経つにつれて歯が動いてしまいます。それに伴い、咬み合わせにも変化が生じ様々な部分に症状が出る可能性があります。仮歯を入れてあげることで、それらを未然に防ぐことができます。

③機能性の回復

歯を削っていることで一時的に噛めなくなりますが、仮歯を入れることで簡単ではありますが、歯として機能させることができます。特に奥歯で複数本の処置をする際など、噛めなくなることで食事が不便になります。

④歯茎の健康と形

最終的な被せ物をする前に歯茎との調和を得るために、仮歯を入れてある程度歯茎の形を整えておく必要性があります。最終的な被せ物を入れてから歯茎が炎症を起こしても、形を変更するのは難しいからです。

⑤審美性

最終的な被せ物の形が、患者さんのお口の中で自然に見えるかどうか調べる必要があります。そのため、仮歯の段階で色や形を調査しておくと、より良い被せ物を作り上げることができます。

⑥診断

咬み合わせや審美性を、事前に仮歯を用いて確認することで、問題ないかどうかを診断することができます。ここを疎かにすると、最終的な被せ物を入れた時に、痛みや違和感が生じることになるます。

⑦その他の用途

被せ物を作るためには、ある程度歯を削りスペースを確保しなければなりません。そのスペースが確保できているかを仮歯を用いて確認することができます。

これらのことを踏まえると、優れた仮歯を作ることで、より良い最終的な被せ物を作ることができると言えます。さらにエラーが少なくなるので、将来的に多くの時間と費用を節約することができます。

患者さんの中には「仮歯はいらないから、早く被せ物作って!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、様々な理由から仮歯が必要なシチュエーションは数多く存在します。仮歯は、最終的な被せ物やお口の中が、長期にわたって問題を起こさないようにするための、道標になります。口の中をより健康に導くために、一緒に頑張っていきましょう!

ここからは、仮歯がすぐ取れる理由や取れた時の対処法、取れないように予防する方法に焦点を当てて、詳しく解説をします。

 

▼仮歯がすぐ取れる理由は?

 

仮歯がすぐに取れてしまう原因にはいくつかの理由が考えられます。以下でその理由をご説明します。

 

【理由1】接着剤(セメント)の劣化

 

仮歯は専用の接着剤を使用して歯に固定されていますが、この接着剤も時間とともに劣化していきます。そのため、接着力が弱まると仮歯が取れやすくなることがあります。特に仮歯は一時的なものなので、最終的な修復物よりも接着剤の耐久性が低いことが原因となります。

 

【理由2】歯ぎしりや食いしばりの影響

 

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、歯に大きな負担がかかります。これにより、仮歯に過剰な力が加わり、取れてしまうことがあります。こうした癖がある場合は、歯科医に相談し、ナイトガードなどの対策を検討することが重要です。

 

【理由3】粘着性の高い食べ物の摂取

 

ガム、キャラメル、餅などの粘着性の高い食べ物は、仮歯を引っ張ってしまい、取れやすくする原因になります。特に仮歯をしている間は、こういった食べ物を避けることが推奨されます。また、治療を受けた歯で噛むことを避けるよう意識することも大切です。

 

【理由4】歯磨きやフロスの使い方

 

強くゴシゴシと歯を磨いたり、無理にフロスを使用したりすると、仮歯が取れることがあります。仮歯の部分をケアするときは、優しく行うようにしましょう。また、フロスの使い方に自信がない場合は、歯科医から正しい使い方を指導してもらうと安心です。

 

【理由5】仮歯の精度の問題

 

仮歯の精度は、歯科医の技術に左右されます。精度が悪いと、仮歯と歯の間に隙間ができ、その隙間に虫歯菌が溜まりやすくなります。これにより、仮歯が取れやすくなることがあります。何度も取れてしまう場合は、経験豊富な歯科医に相談し、原因を見つけて適切な対策を行ってもらいましょう。

 

【理由6】仮歯の素材の問題

 

仮歯に使用される素材には、保険適用のコンポジットレジンや一時的なセメントがありますが、これらは耐久性が高くないため、特に咬合圧がかかりやすい場所では取れやすい傾向があります。一方、セラミックなどの最終的な修復物はより耐久性が高く、頻繁に取れることはありません。何度も取れて困っている場合は、最終的な修復物をセラミックにすることも検討してみましょう。

 

▼仮歯が取れたときの対処法

 

仮歯が取れてしまった場合でも、慌てずに落ち着いて対処しましょう。以下の方法で対応してください。

 

【対処法1】早急に歯科医院へ相談

 

仮歯が取れたら、できるだけ早く歯科医院に連絡し、治療を受けましょう。放置すると、虫歯が進行したり、歯が傷ついたり、歯ぐきの炎症が悪化したりするリスクがあります。また、仮歯がないことで噛み合わせに問題が出ることもあります。早めの対処が非常に重要です。

 

【対処法2】取れた仮歯を保管

 

仮歯が取れた場合は、舌や指を使って慎重に取り出してください。そして、取れた仮歯は水で軽く洗い、清潔な容器に入れて保管します。仮歯が見つからない場合でも、すぐに歯科医院に連絡し、適切な処置を受けることが必要です。

 

▼仮歯が取れないように予防する方法

 

仮歯が取れないようにするためには、以下の予防策を実践しましょう。

 

【方法1】硬い食べ物や粘着性のある食べ物を避ける

 

氷やナッツ、キャンディーなどの硬い食べ物や、ガム、キャラメルなどの粘着性の高い食べ物は、仮歯が取れる原因となりますので、避けるようにしましょう。

 

【方法2】舌や指で触らないように注意する

 

仮歯に違和感を覚えても、舌や指で触らないようにすることが重要です。触ることで仮歯が動き、取れやすくなる原因になります。

 

【方法3】歯磨きやフロスで力を入れすぎない

 

歯磨きやフロスを使用するときは、優しく丁寧に行うことが大切です。力を入れすぎると仮歯が取れてしまう可能性が高まります。また、電動ブラシや口内洗浄器を使うことも一つの方法です。優しいケアが仮歯の長持ちに繋がります。

 

仮歯が取れてしまうと不安に感じる方も多いと思いますが、上記の対処法や予防策を実践することで、トラブルを最小限に抑えることができます。何か気になることがあれば、歯科医院に相談し、適切なサポートを受けるようにしましょう。

Steele, J. G et al. “Crowns and other extra-coronal restorations: Provisional restorations”. British Dental Journal. 2002;192 (11): 619–630.

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豊中市 医療法人スマイルデザイン吉田歯科

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