歯はどうやって生えるの? | スマイルデザイン吉田歯科

歯のしくみ

2014.04.14

歯はどうやって生えるの?

赤ちゃんの歯茎にちょこんと乳歯が生え、3歳くらいに乳歯が生え終わると、
次は乳歯を押し出して永久歯が生えてきます。

あたりまえのことであまり不思議に思われなかった方もいらっしゃると思いますが、
誰も押したりひいたりしていないのに、どうして歯は勝手に生えてくるのでしょうか?

そもそも歯とは、顎の骨のなかにできた「歯の種(歯胚)」が育ったものです。
その歯胚がまず「歯の頭(歯冠)」をつくり、最後に「歯の根っこ(歯根)」をつくります。
なので、歯の頭が歯茎から出はじめた頃は、レントゲンで見ると根っこがまだ短くてできかけなのです。
しかし、ここから根っこがグングンと伸びるエネルギーで、歯は外に向かって頭を押し出していきます。

歯が生えてくる様子は、種が発芽するときによく似ています。
発芽すると土の上にちょこんと芽が出ますが、その頃土の中ではしっかりと根が伸びはじめています。
根がグングン伸びると、そのパワーでグッと芽が上に押し出されるのです。

歯が生えるのも、歯根ができるときのパワーのおかげです。
永久歯は、歯根ができるパワーで乳歯を押し、乳歯の歯根を溶かしながら、歯茎のほうへと骨のなかを進みます。

ちなみに、歯が頭を出す時ときに血が出ないのはどうしてだと思いますか?
歯茎を破って出てくるのに不思議ですよね。
実は、歯が生えるときだけ、血管の通っていない歯茎の粘膜上皮と歯を覆う上皮が一体化して、
歯の通り道を作り、血が出ないように歯を通してくれるのです。

このように、歯の生えるしくみはとてもよくできているのです!
人間のからだって不思議ですね。
こんな風に一生懸命生えてきてくれた歯の1本1本をこれからも大事にしていきたいものです。

 

▼歯の形成はいつから始まる?

 

続いては、歯の形成にまつわるお話です。皆さんは、歯がどのように作られるかをご存知ですか?実は歯は、お母さまのお腹の中にいる時から徐々に形成が始まります。乳歯(子どもの歯)は胎生6~7週頃、胎児の大きさが約16mmになった時から作られ始めます。上顎と下顎の骨の中にそれぞれ10個ずつ、歯嚢(しのう)と呼ばれる袋状の組織ができ、その中で歯の形成が進んでいきます。この段階で既に、将来噛む役割を果たす歯の基礎が作られているのです。

 

▼歯冠の形成とエナメル質・象牙質の役割

 

胎生14週(胎児の大きさが約75mm)頃になると、歯冠(歯の頭部分)の形に沿って細胞が並び始めます。歯冠は口の中で見える白い部分で、食べ物を噛む役割を持つ大切な部分です。この歯冠を構成するエナメル質と象牙質は、それぞれ特別な細胞によって作られます。エナメル質を作る細胞は「エナメル芽細胞」、象牙質を作る細胞は「象牙芽細胞」と呼ばれ、これらが歯の形成に必要なタンパク質を生産していきます。象牙芽細胞は歯の内側に象牙質を作り、その結果、歯の内部には歯髄(歯の神経)が形成されます。一方、エナメル芽細胞は外側にエナメル質を作り、歯の保護層を構築していきます。

 

▼石灰化と乳歯の成長

 

歯の形がタンパク質で形成された後は、石灰化と呼ばれる過程が始まります。これは、歯が徐々に硬くなる現象です。石灰化が進むことで、乳歯は次第にその強度を増し、生後8ヶ月頃になると最初の乳歯である下顎の前歯が歯ぐきから顔を出し始めます。永久歯についても、胎生4ヶ月頃から歯嚢の形成が始まり、出産後に石灰化が進んでいきます。こうして乳歯が成長し、最終的に生後2~3年かけて全部の乳歯が生え揃います。

 

▼栄養と歯の健康

 

乳歯や永久歯の形成には、お母さまの栄養状態が大きく影響します。良質なタンパク質、カルシウム、ビタミンAやDなどが不足すると、歯の成長に支障が出てしまうこともあります。そのため、妊娠中はこれらの栄養素をしっかり摂取することが大切です。お腹の中で健康で丈夫な歯が育つためには、バランスの取れた食事が欠かせません。

 

▼エナメル質と象牙質の特徴

 

一度エナメル質が完成すると、エナメル質を作るエナメル芽細胞は歯の表面から離れて消失してしまいます。そのため、エナメル質は再生能力がなく、傷つくと自然に修復されることはありません。これは、爪や髪の毛が常に成長するのとは異なる点です。エナメル質は傷つくと自己修復ができないため、虫歯による欠損があった場合、削って詰める治療が必要となります。

 

一方で、象牙質に関しては歯髄と接している部分に象牙芽細胞が存在し続けています。この細胞は、大人になってからも刺激を受けると象牙質を新たに作り、歯髄を保護しようとします。つまり、歯髄が健康である限り、歯は少しずつ成長を続けているのです。

 

▼歯の健康を守るために

 

このように、歯の成り立ちには非常に複雑で精密な過程が関与しています。赤ちゃんの歯は、生まれる前から準備が進んでおり、健康な歯を育てるためには妊娠中の適切な栄養管理が不可欠です。また、永久歯の形成も幼少期から始まっているため、子どもの頃の食生活も歯の健康に大きな影響を与えます。しっかりとした栄養を摂り、歯を大切に守ることで、生涯にわたって健康な歯を維持することができます。

 

▼まとめ

 

今回は、「歯はどうやって生えるの?」というテーマで、歯の萌出や形成について、豊中市のスマイルデザイン吉田歯科が解説しました。歯の生え方や作られ方の正しい知識を学ぶことで、お子さまの大切な歯を守りやすくなるかと思います。そんな子どもの歯についてもっと詳しく知りたい、質問したいことがあるという方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。

 

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